2021年3月15日 20:10
松井玲奈、2作目の小説 「パパ活」中の女子との出合いが執筆のきっかけに
なぜこんなにいろんな立場の人間をリアルに描けるのだろう。そんな感嘆の溜め息が漏れるのが、松井玲奈さんの小説第2作『累々』だ。
いくつかの男女の光景に隠された秘密。期待の第2作。
「誰にでも、この人には見せるけれどあの人には見せない顔、というものがあると思います。今回は、そうして人が無意識に使い分けている顔について、物語にしてみました」
さまざまな男女の光景が描かれる全5話の連作短編集。最初に思いついたのは第3話、パパ活する女性が登場する話だったという。
「SNSでパパ活している女の子たちのアカウントに出合ったんです。
見ていると、自覚がないままにデートする“パパ”に見せる顔と友達に見せる顔を変えていて、それがとても興味深かったんです」
視点人物はそんな女の子たちとデートする男性だ。恋愛シミュレーションゲームの行動の三択画面を思い浮かべながら行動する彼がユニーク。
「女の子たちとリアルな関係を求めているのにうまく接することができず、ゲーム感覚で攻略する男性の話にしたら面白いかなと考えました」
攻略にも慣れてきたはずが、新たに出会ったユイという少女は難攻不落で…。この二人の顛末が描かれる。