2016年7月1日 20:00
セックスレスでもラブラブ夫婦…柚木麻子の新作は明るく笑える?
アクセサリー作家をしている30歳の初美と5歳年上の編集者・啓介は、ラブラブ夫婦。日常に何の不満もない初美だが、たったひとつの悩みは、結婚して3年ですでにセックスレスに陥っていることだ。
昨年、NHKまでもが取り上げ、反響を呼んだ、セックスレスの問題。「仲良しだから、セックスがなくても幸せ」は本当なのか。注目が集まってきたテーマを、柚木麻子さんは、『奥様はクレイジーフルーツ』でユーモラスにほのぼの描き出す。
「よくドラマなんかで描かれてきたセックスレスの夫婦は、会話もあんまりなくて夫はマザコンで…、『なんで離婚しないの?』と言いたくなるような重くて暗い話が多いんですよね。だけど、セックスレス=砂みたいな人生というのもなんだか違うような…。セックスレスの本当の苦しさを誠実に書いた作品もすごいと思うんですが、私は、もっとからっとした艶笑譚のように書きたかったんです」
セックスしようよと初美が素直に誘っても、啓介から〈うん。今度ね。今はね、くたくたなんだ〉とかわされる。啓介がその気になった千載一遇のチャンスと思えた一夜には、行為の初手で啓介が初美の胸のしこりを発見し、気分がしぼむ。浮気願望に負けそうになることもある初美だが、いざとなればそそくさと退散する。