2021年11月25日 19:30
13万円の絵が510億円に!? 男性版モナ・リザがたどる「数奇な運命の結末」
不誠実な人ばかりとは言いませんが、そんなふうにアートに利益を求める人たちの存在と行動によって、芸術が貶められているところもあるのではないかなと思っています。
―確かに、この作品を観る方の多くがそういう危機感は覚えるのではないかなと。
監督名前は伏せますが、実は最近もイギリスの非常に有名なアーティストの展覧会に行ったときに、驚いた出来事がありました。非常に素晴らしい絵だったので、ギャラリーの人にどのくらい枚数があるのかを尋ねてみたんです。そしたら、なんと107枚作っています、と。
それほどの枚数だと、もはや工場で作品を製造しているのに近いと思うので、そういう意味では、崇高なアートとは少し違う次元に行ってしまっているように感じました。
国を広げるためにいま必要なのは、武器よりも美術館
―監督は芸術の国と言われるフランスで生まれ育っています。実際に「サルバトール・ムンディ」をご覧になったときは、どのような印象を受けましたか?
監督実は、僕が初めてこの絵を見たときは、すでに皇太子が買ったという事実を知っていたので、「いわくつきの作品だな」という色眼鏡を通して見ていました。
悲しいことに、美術館で絵画を見るような純粋な気持ちでは見れなかったので、強い印象を抱くことなく、特に大きな感動もなかったというのが正直なところです。