2022年2月9日 18:50
寺地はるな「どれも孤独な人の話になったな」 孤独な心を温めてくれる初短篇集
周囲に馴染めない人、馴染まない人。孤独な心を温めてくれる、寺地はるなさんの初短篇集『タイムマシンに乗れないぼくたち』。
「一篇一篇が独立した話の短篇集を読むのがすごく好きで、自分でも書いてみたかったんです」
と、寺地はるなさん。そんな希望が叶ったのが、新作作品集『タイムマシンに乗れないぼくたち』だ。
「書き終えて、どれも孤独な人の話になったなと思いました。孤独や不幸って“その程度ならたいしたことない”などとランク分けされがちですが、比べる必要はないんじゃないかと感じていました」
他人から理解されなかったり、疎外されている人々が登場する本作。巻頭の「コードネームは保留」は、心の中で“自分は殺し屋”などと設定を作っている女性の話。
「現実に向きあって生きるのは正しいと思いますが、やり過ごす方法があってもいいかなと思うんです」
表題作は古生代好きの少年が博物館でお喋りな男と出会う話だ。
「子どもの頃って学校と家がすべてだった。別の世界があるんだって知る話にしようと考えました」
他の短篇でも、主人公が接点のなかった相手と交流を持ったり、相手の意外な一面を知る場面が描かれる。
「相手を深く知ったり親しくなったりしなくても、幸せを願うことはできる。