2022年6月26日 19:40
民藝運動の創始者・柳宗悦が見出した“美”とは? 『復帰50年記念 沖縄の美』
美は生活に宿る。手仕事の楽園がつなぐ民藝の魂。展覧会『復帰50年記念 沖縄の美』をご紹介します。
「こんな世界がよくも地上に残っていたという感じがする」
1938年、沖縄の地を踏んだ民藝運動の創始者、柳宗悦(むねよし)(1889~1961)は書き残している。
「当時の沖縄は厳しくも豊かな自然の中、独自の風習や信仰に基づいて、目には見えないものを信じる生活が営まれていました。そうした生活の中で人の手から生まれる工芸、踊りや音楽などあらゆるものに、柳は美しさを見出したのだと思います」
と日本民藝館学芸員の古屋真弓さん。「民藝」とは「民衆的工芸」の略。美術品とは違って生活の中で実際に使うために作られたものを指す。
「柳は日本各地や朝鮮半島を巡ってたくさんのものを収集する中で、美しさとは何かを考えたとき、その大半が生活の中で使うことを目的に作られていることに気づきました。自然の素材を生かし、使いやすく、伝統から必然的に生まれた形を持つ。それを『民藝』と名付けたのです」
柳の探し求めた美しいものは庶民の営む生活の中にあったのだ。
「物の中に全てを見ていました。物の美しさの向こうに風土や民族性を見ていたのだと思います」