2022年9月23日 19:00
「日本とは心が繋がっている」名優で名監督マチュー・アマルリックが日本を愛する理由
―まさに本作で体現されていることですね。
マチューさん例として挙げるなら、同じ意味合いを持つのは部屋に飾られているロバート・ベクトルのハイパー・リアリズムの絵。最初は写真のように見えるので、簡単に撮られたもののように思われますが、それが絵であるとわかった瞬間に画家の緻密な仕事ぶりに気づかされる。観客のみなさんにはそんなふうにこの映画を観ていただきたいので、最初から細部に注意を払うのではなく、セリフや音楽から頭のなかで何かを連想するような感覚で捉えていただけたらいいなと思っています。
―そういった計算がされていたからこそ、1度目と2度目ではまったく異なる映画体験と感動が味わえました。
マチューさん初めはパラレルワールドのような何か違う現実を見せられているのではないか、と感じるかもしれません。でも、その感覚はまさに日本のみなさんが長けているところではないでしょうか。それに比べて、僕たち欧米人は「そんなパラレルワールドなんてないよ!」と合理的な考え方をしがちですからね。
関係を築くうえで大事なのは、与えること
―ananwebでは前作『バルバラセーヌの黒いバラ』で主演したジャンヌ・バリバールさんにも取材しており、監督であるマチューさんの存在感の大きさを感じていました。