2022年10月19日 19:00
『すずめの戸締まり』主人公に抜擢! 原菜乃華の声に、新海誠「ちゃんと鈴芽はいたんだ」
新海:いや、僕はあの時点でもう、「この作品は大丈夫だ」と、ものすごく安心してたんですよ(笑)。
――この作品は、高校生の鈴芽が、宗像草太という青年と、そして“ダイジン”という猫と出会い、ある目的のために日本を旅していくストーリーです。原さんは、物語についてどんな印象がありますか?
原:鈴芽を演じた私にとっては、この物語は〈鈴芽の成長物語〉です。人との出会いが連鎖していく中で、最終的に彼女は大切なものに気がついていくわけですが、随所に温かさが感じられる、そんなお話だと思います。
――監督としては、物語の糸口はどんなところにあったのですか?
新海:映画って、1つの出発点から物語が広がるというよりは、長い時間をかけて考えて出てきた小さなアイデアの断片をいくつも並べていくと、「これだけ揃ったら、映画になる!」と思える瞬間が来るんです。今回もそんな作業の中から生まれてきたのですが、あえて言うならば、〈場所〉を悼む物語を作ってみたいと思ったのは、一つのきっかけかもしれません。
原:それはどういう意味ですか?
新海:人が亡くなると、お葬式などでその人を悼みますよね。でも例えば災害があって街がなくなる、あるいはかつて誰かが住んでいた場所が空き地になったりしたとき、その場所は弔われることなく、なんとなく現実からフェードアウトしていく印象があって。