2012年2月28日 22:11
【ハリウッドより愛をこめて】ホイットニー、遺作映画に込めた期待と希望
しかし、これが彼女にとって心身を捧げた、最後のプロジェクトとなってしまったわけです。出演キャストやスタッフによれば、その類稀なる才能と美しい声でみんなを魅了してやまなかったというホイットニー。映画の中では、(「アメリカン・アイドル」出身のジョーダン・スパークス演じる)主人公・スパークルの母親を演じています。映画は、ずば抜けた才能をもつ3姉妹がショウビズ界に足を踏み入れ、周囲からのプレッシャーと重圧をどう乗り越えていくかを描いているのですが、皮肉にもここで描かれていることは長きにわたりホイットニー自身を苦しめてきた問題そのものでした。そしてグラミー賞の前日、天使の歌声を持つ彼女はロサンゼルスのホテルの一室で亡くなっているのを発見されるという突然の訃報が世界にショックを与えたわけです。
その訃報を聞いたときのショックの大きさをいまだにはっきり憶えているのですが、そのとき私は偶然にもグラミー賞の授賞式が行われるステープルズ・センターにいました。会場の周りには大勢の人が集まっており、中にはホイットニーの歌を歌ったり、CDプレーヤーを持参し彼女のアルバムをかけて回想する姿が見受けられました。そして、その週末にホイットニーの“お帰り”セレモニーが行われたわけです。