佐藤健は、満島ひかりについてこう語る。「レアポケモンみたいになっていて、なかなか会えないし、なかなか共演できない人」と。Netflixオリジナルシリーズ「First Love 初恋」のクロストークの場でのことだ。
「演技」という言葉の奥行きを改めて見せつけられるような、人物が生きた記録を画面に刻み付けてきた表現者・満島ひかり。生活レベルから役に入り込もうとする彼女のアプローチは、それがゆえに“こなす”ことがかなわない印象を受ける。潜って、捧げて、搾り出す。その圧倒的な深度がため、乱発ができないのだ。
佐藤さんの評が言いえて妙だが、2022年は様々な条件が重なり満島ひかり出演作の公開・放送ラッシュとなったレアな1年であった。
改めて、我々が“目撃”した彼女の姿を振り返ってみよう。
4月には春クールのテレビドラマ「未来への10カウント」に出演。木村拓哉扮する元ボクサーの主人公と共に高校ボクシング部を盛り上げる、まっすぐな性格の顧問教師に扮した。「本気の青春」をうたう本作では各々が思いの丈をぶつけ合うシーンも見どころの一つだが、意志が行動に直結している満島さんの芝居が実に効いている。
夏クールには、多くの作品で組んできた脚本家・坂元裕二の新作「初恋の悪魔」