2023年3月16日 07:45
【インタビュー】斎藤工、“見られたくない部分”をさらけ出す「原作者や監督の覚悟が伝われば」
「ソラニン」や「おやすみプンプン」で知られる人気漫画家・浅野いにおが己の業(ごう)をさらけ出したと評される「零落」。存在意義を見失った漫画家の彷徨を生々しく描いた本作が、竹中直人監督・斎藤工主演で実写映画化された。
売れるとは何か?売れればいいのか?自分はどうしたら幸福でいられるのか?才能を持ってしまったがゆえに奈落に堕ちていく主人公・深澤を演じた斎藤さんは、本作で己の内臓と向き合うような体験をしたという。『フェイブルマンズ』や『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』といった最新映画の話題もはさみつつ、作り手の業について語っていただいた。
「零落」は読者自身が自分に向き合わされる作品
――斎藤工さんは、浅野いにお先生の作品が世に与えた影響をどう見ていますか?
自分は同世代であり、進行形で常に浅野先生に衝撃を受けてきました。どんな映画よりも映画を感じるところすらあります。
かつて竹中直人さんが監督された『無能の人』を観たときに、竹中さんと原作者のつげ義春先生の親和性をすごく感じました。そして今回、『零落』を竹中さんが監督されると聞いて、日本の漫画のカルチャーが積み重ねてきたものを改めて思いました。