2014年12月19日 15:59
便秘薬による腸内環境の改善が慢性腎臓病の進行を抑制 - 東北大と慶大
が関わっていることが知られており、近年、慢性腎臓病では腸内環境全体が悪い方向に変化していること明らかとなっていた。
この背景から研究チームは、腸内細菌叢を慢性腎臓病の新しい治療ターゲットとして腸内環境および腸内細菌叢に注目して研究を続けていた。
今回の発見では、腸内環境を変化させる薬剤として、一般には便秘症の治療薬として使用されるルビプロストンの効果を検討した。同剤は腸液の分泌を増加させ、腸管内容物の移動を促進させる効果を持つ。
研究チームが慢性腎不全状態のマウスに同剤を投与し、腎臓病の進行に対する効果を検証したところ、ルビプロストン投与マウスは投与していないマウスに比べて、腸液の分泌が増えたことにより、腎不全時における腸壁の悪化が改善されていた。さらに、腸内細菌叢を解析したところ、善玉菌の減少も改善していた。また、腎不全時に血液中に蓄積する尿毒素などの代謝物濃度を網羅的に解析した結果、ルビプロストン投与マウスではインドキシル硫酸や馬尿酸などの物質の血中濃度が減少すすることが判明した。これらの結果から、腸管は尿、血液透析とならぶ第3の尿毒症物質排泄経路で、便秘症の治療薬であるルビプロストンが、慢性腎臓病の新しい治療薬として適用できる可能性が示唆された。