2015年9月9日 12:00
フォントから考える (2) クラシカルでやさしい売れっこフォント
「丸明オールド」はまず、漢字とひらがな、カタカナとのサイズの差がずいぶんとあり、「鎌倉」の文字が大きく見えます。これは、オールドスタイルな本文組で見かけるもので、漢字とひらがなのリズムを出すことによって、文章を読みやすくさせる意図をもっています。また個人的には、ひらがな・カタカナは漢字と比べて要素が少なく、1文字の密度が低いので、反対に密度の高い漢字と同じ大きさにすると、ちょっと空いて見えてしまいます。漢字に比べてひらがなを小さくすることで、1文字の密度を上げ、漢字と密度感をそろえる効果があると考えています。
次に、スタンダードな明朝体「ヒラギノ明朝 Pro」と異なり、字の一画一画の太さに抑揚がありません。「丸明オールド」は全体的に丸みを出す処理がなされているためか、ある程度一定の太さに見えるようになっています。
また、「丸明オールド」は、「パ」は縦がとても短く、比べて「ラ」は縦に大変長い形状をしている、といったように、字ごとに大きさが異なっていることが分かります。さらには、「い」「は」「ま」のように、要素がつながって、手書き文字のようなやさしい雰囲気を出しているのも印象的ですね。