今回の研究では電気で生きる微生物の特定を目指し、鉄イオンをエネルギーとして利用する鉄酸化細菌の一種であるAcidithiobacillus ferrooxidans(A.ferrooxidans)に着目し、鉄イオンが含まれず、電気のみがエネルギー源となる環境で細胞の培養を行った。その結果、A.ferrooxidansは細胞が体外の電極から電子を引き抜くことで電子伝達体物質「NADH」を作り出し、二酸化炭素を取り込み糖を合成する「ルビスコタンパク質」を介して二酸化炭素から有機物を合成する能力を有していることがわかった。さらに、0.3V程度の小さな電位差を1V以上までに高める能力も持ち、微弱な電気エネルギーの利用を可能としていることも判明した。
同研究チームは、この結果は電気が光と化学物質に続く地球上の食物連鎖を支える第3のエネルギーであることを示すと同時に、二酸化炭素の固定反応に関わる微生物代謝の多様性を示すものとしており、微小電力の利用という観点からも新たな知見を提供するものだとしている。
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