くらし情報『市村正親、役者生活50年でも“不安”だからこそ「タフに」 演劇界の新たな動きも見つめる』

2023年2月17日 19:00

市村正親、役者生活50年でも“不安”だからこそ「タフに」 演劇界の新たな動きも見つめる

○■3年間の付き人時代も大きな財産

――『死神』は、市村さんがデビュー以前に付き人をされていた名優・西村晃さんの代表作でもあります。市村さんは今でもたびたびその頃のことを口にされますが、役者生活50年の前の3年間も大きな財産ですか?

西村さんの付き人をやったということだけじゃなくて、西村さんがやった仕事を間近で見られたことが大きいです。最初は三木のり平さんと古今亭志ん朝師匠の『文七元結』を1カ月見ました。次は『雁の寺』を1カ月。木村光一さんが演出だったんだけど、水上勉さんと一緒に、僕にちょい役の場面を作ってくれたの。後に三田佳子さんと新橋演舞場で『越前竹人形』をやったときに、水上さんが来てくれたことがあって「あの頃のことよう覚えてまっせ。あんさんにちゃんとセリフ作ってあげたやろ」と。――しっかり覚えていてくださっていたんですね。


僕が「西村さんの付き人を辞めてから劇団四季に入りまして、ミュージカルとか、シェイクスピアとか、フランス演劇とかいろいろやっていました」と言ったら、「ああ、ええねぇ、洋行帰りやな」って。いい外国旅行してきたねってことなんだけど。そういうことを水上先生とお話できたのも、西村さんの付き人をやって、ちょい役で出させてもらったから。

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