古畑星夏が殺人鬼役になるまで - 友人思いの人間愛と「自分に厳しく」の仕事愛
と言われて、今までは自分の中で作り上げてからの撮影だったのですごく不安でした。でも、そういう現場だからこそ味わえないような感情が出たり、その場のリアルな空気に触れながら演技ができたのは、綾部監督のおかげだと思います。
――涙のシーンがいくつかありますが、それぞれ意味の違う涙でした。これも自分の感情とリンクしていた?
自分一人ではあんな表情、絶対にできません。やっぱり相手役の方が引っ張ってくださるから。綾部監督から細かい指示はありませんが、時々近くに来て言ってくださる一言が深く突き刺さるんです。綾部監督と相手役の方々、みなさんに救われたと思います。
○ようやく巡ってきた主演は殺人鬼
――前田航基さん演じるすばるに対して、睨みを利かせながら「はっ?」と聞き返すシーンがありました。
めちゃくちゃ怖かったです。
自分が疑われて、本当にムカッとしたシーンでした(笑)。今まで言わなかったのに、なんでこのタイミング? という感情です。台本にもセリフはなく、自然と出てしまった「は?」。ほかのみんなもそういうシーンが多かったんですが、台本に書かれていない言葉や行動に誰も動じない。そういう空気感が成立するのは、チームワークがよかったからなんじゃないかなと思います。