2023年6月11日 07:00
川谷絵音&萩原みのり、傷ついた経験も表現者としてプラスに「葛藤も何もなければ音楽も生まれない」
――萩原さんは、弦の市役所の同僚、上国料いと役を演じました。過去に痛みを経験しているからこそ、今の優しさを手に入れたのではないかと感じさせる、素敵な役柄でした。演じてみたいと思われたのは、どのような理由からでしょうか。
萩原:脚本を読ませていただいて、好きなセリフがたくさんありました。いとのセリフで「“乗り越える”という言葉が好きじゃない」というシーンがあったんですが、私も以前インタビューでそういった話をしたことがあって。いとと私は、似た感覚を持っているなと思いました。
――同じように感じたご経験があるのでしょうか。
萩原:私は小さな頃から新体操をやっていて、ドクターストップが入ったことをきっかけに新体操を辞めました。
取材でお話しする時やファンの方から「どうやって乗り越えたんですか?」と聞かれることもあるんですが、「別に乗り越えていないな」と思うんです。今でも「やれるんだったらやりたい」と思うし、「なぜ前を向かなければいけないのかな」とも感じます。以前の将来の夢は、オリンピックに出ることや、新体操の先生になることだったんですが、それがすべてなくなってしまった当時は「私が世界で一番しんどい!」