2017年5月27日 12:30
映画『無限の住人』8人の証言者たち - 「皆さまのもの」になるまで (9) 『アイムホーム』が縁、万次を創り出した男「ずっと続いている」 (4人目:メイク酒井啓介氏)
物語にすんなり入っていけるか、浮いてないか。その世界になじませるためのもの、それがメイクだと思っています。奇抜なキャラクターも多いんですが、つられてやり過ぎないギリギリのところを注意しながらやっていました。
――現実と非現実の間のような独特の世界観です。
そうですね。ただ、原作の絵に似せるということはしませんでした。沙村先生が、仮に誰かをモデルに万次を描いたとして、それを思い浮かべてメイクに落とし込んでいくイメージです。漫画が原作の場合はだいたいそういうやり方をしています。
さらに、今回は「不死身をどうやって表現するのか」が大切なポイントでした。
○照明部に足を向けて寝られない理由
――不死身になる前となった後では、雰囲気もガラリと変わりますよね。
実際にはそこまで変わらないんですが、カメラを通してスクリーンに映った時にどのように感じるのか。どう見えるかではなく、観る方がどのように感じるのか。
――通常であれば、メイクは人をよりきれいに美しく見せるもの。まるで違う作業ですね。
そうですね。勝手な考えですが映画は少しソフトめに写って肌がきれいに見えると思うんです。
万次は皮膚の毛穴やシミとかそういう本来の粗い質感をより感じさせたかったので、そのあたりは意識しました。