2017年6月10日 11:30
映画『無限の住人』8人の証言者たち - 「皆さまのもの」になるまで (17) 300人斬り宿場町は地盤から! 2カ月「必ず誰かいた」(7人目:美術 松宮敏之氏)
連載第17回は「万次の家と宿場町」。素材選びや装飾、"町作り"は職人技から生み出されていた。
○ロケハンからデザイン画を描き起こす
――場面ごとのセットも、世界観をつくる上で重要な役割を担っていると感じました。
ありがとうございます。まずは台本を読んで、場面ごとの「柱」となるものを確認します。それから監督、カメラマンをはじめ、メインスタッフでロケハンをして、そこでどんなシーンを撮るか、どんなセットを建てるかを考えます。
それから、どこに塀や門を作るのかとか、坂道をどのように作るのかとか、いろいろなイメージをスケッチに描き起こしていく。完成したデザイン画を監督に見せて、最終的に決まれば本格的な準備に入っていきます。
もちろん原作の世界観は大切です。そのイメージを共有したまま、ロケハンをして、いろいろなものを建て込んでいきます。
――万次の家も印象的でした。
川が映るロケーションだったので、「流木を使って建てた」という仮の設定で作っています。素材はスタッフ総出でいろいろなところを探し回って、集められるだけ集めたもの。丈夫なものは屋根に、柔らかいものは寝床に、といった感じで、それぞれの木の質感によって使い分けています。