食物を食べられる状態のままなんとか長くもたすことはできないだろうか。これは生存を賭けた人類の願いでした。なにせ冷蔵庫がありませんでしたから(笑)。保存食に関する「へー」な話をご紹介します。
■なんとか保存できないものか
人間はさまざまな保存食を作り出しました。例えば干物。干して水分を減らし、表面に膜を作ってもちやすくしたものです。水分をさらに減らして煙でいぶすと薫製ですね。
塩に漬けこんで保存する方法は塩蔵と言いますが、塩豚などはこの良い例です。逆に砂糖に漬け込むと糖蔵。ジャムは糖蔵に当たります。
味が良くなってしかも保存も利くと言えば発酵食品。チーズ、かつお節、漬物など、人類は理屈はわからないながらも発酵食品を作ってきました。ちなみに腐敗と発酵は、基本的にメカニズムは同じです。人間に有用なメカニズムを発酵と呼びます。つまり腐敗して(人間にとって)ダメになる代わりに、「ん、これ食べられるじゃん」という物を経験的に見つけたわけですね。
最初に食べた人は命がけだったでしょう。
■イヌイット族の人の作る発酵食品『キビヤック』
発酵食品キビヤックは珍しい保存食です。北極圏に住む、イヌイット族、エスキモー族の作る発酵食品です。