何気ない日常を、五・七・五・七・七の短歌でうたってみた

2016年2月15日 22:00
 

優秀なカメラマンはタイミングを知っています。何気ない街なみ。どこにでもいる猫。こどもたちの一瞬の笑顔を、あざやかな作品にして私たちの目をたのしませてくれます。

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プラットホームで出発する電車

(c)Funny Studio - Fotolia.com



同じように才能のある歌人は、当たり前の風景を詠っても、そこには新しい発見があるものです。

■短歌は、瞬間のドラマ

短歌のタネは、旅や、病気などのドラマチックな体験だけではありません。むしろ、料理や掃除や、通勤中の1コマ、自宅でくつろいでいるときなど、日々の生活のなかにこそ、落ちているものなのです。

一見、平凡な日常にこそ、新鮮な発見があります。そんな、一瞬と永遠が交差する名歌を紹介しましょう。

■時計も置き方ひとつでこんなに違う

「むかうむきに時計を置けばざまあみろ 時は勝手に流れてゆくさ」 岩田正(『レクエルド』)

「ざまあみろ」と、つぶやく小気味よさが、さわやかで、余裕があります。

あえて、文字盤をみえないように時計を置くことで、時の流れから自由になるような、すがすがしさがあります。肩の力を抜いて、自然体で楽しみたい作品です。

■列車が持つ生命力

人間のあぶらをつけて蘇る始発列車の窓という窓 盛田志保子(『木曜日』)

まだ薄暗いホームに入ってくる始発列車は、緊張感につつまれています。作者は近寄りがたい列車の全体像のなかから「窓」に注目しました。

そして、「人間のあぶらをつけて蘇る」と表現したのです。風景と身体感覚が一体化して、不思議な生命力にあふれています。

■食材から料理になる瞬間

「まだ動く海老を掴みて熱湯に落とすやたちまち赤海老となる」 奥村晃作(『歌集 造りの強い傘』)

豚肉や牛肉とは反対に、エビやカニは火を通すと赤くなります。生き物が食材に変わる瞬間を、鮮やかにとらえています。

感情をこめずに、事実だけを伝えることで、かえって新鮮さがひきだされています。

■読書、二度目はどこから読みますか?

「帯・カバー外し〈新刊歌集〉読む二度目はうしろの頁から読む」同

一度読み終えた歌集を、ふたたび開く場面。けれども、はじまりからではなく、うしろから読むという意外性がポイント。

言葉にしなければ、すぐに忘れてしまうささやかな日常の側面が伝わってきます。

■毎日の家事で思うこと

「掃除機の中に家族の抜け髪は絡まりあいて縄のごとしも」 前田康子(「歌壇」2015年10月号)

作者は掃除機の内部でからまりあう髪が縄になるのではないかと想像しています。

もちろん、実際にはありえないことですが、掃除機の奥には家族たちの知らないもう1つの世界が存在しているようで楽しくなります。

パラレルワールドのようでユニークですね。

■忙しい時の電話って面倒!

「セールスに不機嫌になる声のまま受話器をとれば義母の声のす」同(「短歌研究」2015年6月号)

「また、セールスの電話ね。忙しいのに!」と受話器をあげると、お姑さんだった…という笑えないシーン。

「まあ、おかあさん」とうろたえながら声のトーンが変わっていく、作者のようすが思い浮かびます。

■もしも…を想い浮かべる

「生き直したい俺なのか丸善を歩けば医科の文字がまつわる」 中沢直人(「極圏の光』)

「「鱈(たら)」がいるのは、海のなかだけ」といったのは、小説家の田辺聖子さん。

けれども、「あのときに、別の道を選んでいたら」「やはり、医学部をめざしていたら」などと、「たら」や「もしも」の人生を、想い浮かべてみることはありませんか?

書店(丸善)の通路を歩く作者は医科の文字が気になる様子。


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