■想像力こそ防災力! 自分に合う防災を想像するヒント
前述の「3. 自分の目線で考え、防災用品をそろえること」にもつながりますが、
「想像力こそ防災力」だと冨川さんはいいます。状況は家庭によって違うので、わが子やわが家を守る防災について想像し、それにあわせた対策が必要です。
田舎の場合、車が防災拠点になることもありますが、都会では車を持っていない家族も少なくありません。避難所へ行く場合や災害後の夜道では
性犯罪などのリスクもあるので、小さい子どもやママにとっては自宅が安全なら自宅で生活するほうが安心。そんなことを考えると、自宅での備えの重要性もより実感できるのではないでしょうか。
ほかにも想像するための視点のヒントを、本からいくつかご紹介します。
●年齢
乳児なら1週間分の
ミルクの備え、幼児の場合は
離乳食を作る備えが必要。子どもによっては
アレルギーや
アトピーにあわせた備蓄も必要。衣類やクツも
サイズが合ったものを用意。
●都心に住居
都心に住んでいる場合、帰宅難民になる可能性も高いので、常時携行するものを熟考。住宅密集地なら火災の際の避難方法も検討を。
●季節の備え
カイロや
アルミシートなどの防寒グッズのほか、夏の
熱中症対策も必要。衣類も含めて季節ごとに見直しを。
●簡易トイレ
簡易トイレを大人が使うときは目隠しになる
風呂敷や
ポンチョのようなものが必要。子どもはうまくできないこともあるので一度使ってみて使いやすいものを備蓄する。
■保育園や園との連携はどうする?
働くママの場合、子どもを保育園などに預けているあいだに、災害が起きる可能性も高いですよね。「いざというときに
スムーズに連絡がとれる手段を決めておくことも、防災の一部だと思います」とアベさん。
●保育園や学校との連絡手段を決めておく
東日本大震災では、子どもたちが高台に避難していたのに、通常のルールに則って親が迎えに行き、津波に飲まれてしまったこともありました。熊本地震は夜遅くでしたが、震源地のそばにある空港保育園で一番苦労したのが、園児や家族の
安否確認だったといいます。災害時の連絡手段や、被災の状況に応じた避難場所について、あらかじめ園や学校と確認しておくとよいでしょう。
●SNSを有効活用する
活用方次第では、かなり心強い
SNS。空港保育園では
LINEを使ってオムツやミルクなど足りない物資を集め、保育園で必要なママに配ったそうです。また、東日本大震災のとき、SNSからのSOSによって気仙沼で孤立していた住民446名が助け出された事例もあります。アベさんも「いざというときのSNS。活用法について考え、日頃から友人・知人とつながっておくのがおすすめ」と話します。
とくに災害後は
人とのつながりが大事。人と話すことによってストレスが緩和されることもわかっています。子どもの心のケアのためにも、大人の心が安定していることはとても大事です。
本にはほかにも地震対策を考えたミニマリストや日本防災士会などへの取材でわかった防災力を高めるコツが多数紹介されています。イマドキのミニマルな暮らしの視点を取り入れ、インテリア性を損なわない防災アイディアは、すぐに真似したくなるものばかり。
いざというときに家族を救うのは
「毎日少しずつの意識」だというアベさん。まずは「今いるこの場所で、今この時間に地震発生したら?」とシミュレーションしてみることからはじめてみるのもよいかもしれませんね。
『被災ママに学ぶ ちいさな防災のアイディア40』
アベナオミ著(株式会社学研プラス) 1200円(税別)
宮城での被災経験をふまえた「熊本応援ツイート」が話題となったイラストレーターによる、防災&避難生活の心得集。著者が体験した東日本大震災と被災後の生活をつづり、今も続けている防災術をイラストでわかりやすく掲載。さらに都心でママ防災に取り組むNPO法人ママプラグや熊本地震の震源地に近い空港保育園を取材し、防災力を高める秘訣も紹介。必ずやって来る「その日」に備える、防災初心者にもわかりやすい書籍。
子どもを救う防災