を殺した犯人と同じ特殊なナイフを持つ通り魔が現れ、同時期に窃盗団による名画の盗難が相次ぐ。
無関係に見える二つの事件は繋がっていると教えられ、志村はキリコに連れられて闇オークションの会場に赴く。
セレブリティに全く無縁な無骨者の志村が、キリコ相手に高価なタキシードをまとい、ぎこちなくマナーに悪戦苦闘する様子はロマンチックに、そしてユーモアに溢れていた。
警察の作戦開始までの時間稼ぎの為に50億円を超えるオークションにおろおろしながら入札しつづける志村を、最後にキリコは「はい、おしまい。よく、できました」と囁いて制止する。
志村の目をのぞき込みながらねぎらう艶のある声に、画面越しにでもぞくっとした。
善悪の境界線を越えて、ごく自然に他者を『褒める』立場の人間であり、褒めるその行為一つで、相手に報われたような幸福感をもたらすことができると知らしめる。それがカリスマというものの一つの発現であるなら、柴咲コウという独特の神秘性をまとった俳優の、真骨頂のシーンだと思った。
更に毎回工夫を凝らしてある、銃を持たない刑事・志村のバックヤードのアクションも、今回もまたジャケットプレイあり、皿投げありで楽しく見応えがある。