そんな未来も尊厳も奪われた牢獄で、最後に遠く、かすかな光がさす。
周囲から強制された武芸の稽古で有功は他人を打つことを拒み、代わりに千回の素振りを願い出、芸の経験のない体で心身の限界まで追い詰めながらもやり遂げて最後は倒れ伏す。
※写真はイメージ
未来と尊厳が奪われた場所であっても、何をもって自分を良しとするかを決められるならば、それはわずかながらも自由だ。そこに到達するためにもがくならば、それは強さだ。有功はその強さを証明してみせる。
主君、側室たち、家臣たち。誰にとっても絶望のこの場所で、この先どんな物語が起きるのか。
酷薄に見える春日局が、帰ろうとする有功を引き留めるために叫んだ「上様こそ!この世で一番救われぬお方にございます!」という言葉。
このセリフもまた、原作にはないドラマのオリジナルである。
血筋を残すために名前と人生を奪われた少女に対する春日局のこのセリフは、彼女の咄嗟の本心であるように思えてならない。そしてこのドラマの作り手にとっても。
哀切あふれる家光編は、これからが本番である。
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[文・構成/grape編集部]
かな
Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。
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