2019年3月7日 06:00
藤真利子さんが語る「女優をしながら実母を介護した11年」
「ごめんなさい……母の姿を思い出すと、いまでも涙が出るんです」
涙がその頬を伝ったのは、女優の藤真利子さん(63)。直木賞作家の藤原審爾(’84年没)を父に持ち、映画『薄化粧』『吉原炎上』など数々の名作に出演してきた藤さんは、’16年11月7日、母・藤原静枝さんを11年の介護の末、自宅で看取っている(享年92)。丸2年を経ても、晩年の母を思い出すと涙が出るという。
「それほど母の介護は無我夢中で慌ただしい毎日でした。毎日来てくれていたヘルパーをはじめ、ケアマネ、医師、看護師……。家族以上に密接だった方々が、母が亡くなった日を境に一気に去り、私たったひとりになりました。これからどんなふうに生きていくのか、模索中の自分がいるんです」
そんな藤さんが、最愛の母を介護した11年間を、いま振り返る。
「母が倒れた’05年6月のあの日、私は明治座での昼公演を終え、寄り道して19時過ぎに帰宅すると、家じゅうが真っ暗でした。
水が流れっぱなしの台所の床に、母がドカンと倒れていました。私はすぐさま救急車を呼んだんです」(藤さん・以下同)
脳梗塞だった母は、一命こそとりとめたものの、予断を許さない状況だった。