2020年4月13日 11:00
『エール』モデル作曲家の猛烈夫婦愛 3カ月の文通で電撃婚
ある住宅の窓から早春の風に乗って、勇ましくも軽快な高校野球の公式ソング『栄冠は君に輝く』の女性の歌声が流れてくる。シンセサイザーで伴奏をしているのは、この家の主である古関正裕さん(73)。
正裕さんは、これらの名曲をはじめ、『オリンピック・マーチ』や『君の名は』など生涯におよそ5千曲を作った天才作曲家・古関裕而(ゆうじ)の長男だ。3月30日にスタートしたNHK連続テレビ小説『エール』は、その古関裕而と、妻の金子(きんこ)をモデルにした物語である。
自分の両親が朝ドラの主人公になるというのはどんな心境なのだろうか。正裕さんに尋ねれば、
「(父は)息子の私にしたら、家庭では、奥さんに頭が上がらないという、日本のどこにでもいる普通の親父でした(笑)。2人をドラマ化するというのは、楽しみであり、大変だろうなぁと(笑)」
古関裕而(本名・勇治)は、福島市大町の老舗の呉服店「喜多三」に、1909年(明治42年)8月11日に生まれた。
「少年時代の父・裕而がシャイで無口だったのは、8代目の跡取りとして乳母日傘で育ったことと、吃音のせいでした」
以下、長男・正裕さんの証言を中心に裕而夫妻の生涯をたどる。