2020年6月8日 11:00
女性支援医療の第一人者・対馬ルリ子 直面した“女だから”の壁
東京の銀座と新宿で、「女性ライフクリニック」を開業する産婦人科医で医学博士の対馬ルリ子さん(62)。婦人科、乳腺科、内科、皮膚科などを備え、女性の心と体をトータルに診ている。対馬さんは、7都府県に緊急事態宣言が出た翌日の4月8日から、銀座のクリニックを開放。コロナ禍で、DV被害などを受ける女性たちの駆け込み寺として機能させてきた。
弱い立場に追いやられた女性たちに寄り添い、長年サポートをしている対馬さん。これまでの道のりは、決して平たんなものではなかった。
対馬さんは、東京大学医学部を目指し浪人するため18歳で上京。東大医学部は落ちたが、地元、弘前大学医学部に見事合格。
78年、進学のため再び、故郷の青森に戻ることになった。
「東京は当時、ウーマンリブ運動のまっただ中でね。私も、いままで以上に、男女の性差について考えるようになっていきました。入学してすぐ“女医の卵の会”を結成しました。女子の卒業生に、結婚後も医師の仕事をしているかアンケート調査したり、医学部の学祭で“私たちの性を語り合おう”というシンポジウムを開いたり」
そのシンポジウムでは、考え方の古い教授とぶつかった。
「婦人科医の男性教授に、性をテーマに講演してくださいと依頼したら、『あなたのようなうら若き乙女が語る問題ではない』と言われてね。