2021年4月9日 15:50
「70歳就業法」開始、なぜ日本は高齢者を働かせたいのか
4月1日、「70歳就業法」とも呼ばれる「改正高年齢者雇用安定法」が施行された。高齢者の働き方は変わるのだろうか。「改正高年齢者雇用安定法」について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。
■なぜ高齢者を働かせたいのか
これまで、会社員の方は希望すれば全員65歳まで働くことができました。企業には(1)定年を65歳に引き上げ、(2)定年制の廃止、(3)65歳まで継続雇用のどれかを、制度整備する義務がありました。
4月1日以降はこれに加え、70歳まで就業できる制度の整備が「努力義務」となりました。企業は(1)定年を70歳に引き上げ、(2)定年制の廃止、(3)70歳まで継続雇用、(4)70歳まで業務委託、(5)70歳まで社会貢献活動での就業、どれかの制度を導入するよう努めることが義務付けられたのです。
ただ、この法律には問題があります。
“70歳まで働く”ことにだけ注目し、収入などに言及されていない点です。これまでも60歳以降は収入が大幅に減る方が多いのですが、70歳就業法にある業務委託や社会貢献活動での就業で、どれほどの収入になるかは不明。いくら働けても収入が少ないと暮らしていけないことを、国は考えているのでしょうか。