2021年5月17日 06:00
IKKO語る修行時代「『親の顔が見たい』とまで言われた…」
逆境のなかでひたむきに生きる女性の姿を描き続けた宮尾登美子さん
「小学校2年生か3年生くらいから『オカマ』『気持ち悪い』って言われるようになってしまって。その言葉を聞くたびに、胸がえぐられるような気持ちに……。なるべく人と関わらないで、自分の世界で過ごすようにしていました」
そう話すのは、美容家のIKKOさん(59)。’81年に上京するまでは、劣等感と孤独感を抱いていたという。一方、美容室を経営していた母親の影響で、ヘアメークなど美容に関しては強い興味と、行動力を持っていた。
「高校の友達が行く美容室で、素晴らしい先生に出会ったんです。今まで見たことのないような2枚バサミのカットの仕方がきれいで、次の日に『雇ってください』って直談判しに行きました」
高校卒業後は美容専門学校へ進学。厳しい環境だったという。
「白衣を忘れると朝から晩まで正座よ〜。中学を卒業して進学してきた16歳くらいの女のコが、お化粧なんかしてきたら、干している雑巾で顔拭かれるくらい」
専門学校を卒業し、いよいよ社会へ出ようとするとき、IKKOさんは厳しい環境に身を置こうと決心をする。
「それまで中傷の言葉に傷つくことを恐れ、自分の感覚のなかだけで生きてきたから、独特の感性が育まれたっていうのはあります。