2021年10月21日 11:00
金融課税所得の真実 年収100億円より年収400万円の方が税と社会保険料の負担率が高い
(C)JMPA
「当面は触ることは考えていない」
自由民主党の総裁選で「金融所得課税」の強化を“公約”にしていた岸田文雄首相(64)。だが、総理就任のわずか6日後の10月10日に出演したテレビ番組で、早くもこう言い切ったのだ。
「政府の言う“当面は触らない”は今後も触らないということです。岸田政権もアベノミクスを引き継いで格差拡大の政策を押し進めることを表明したと言ってもいい」
そう語るのは『財政爆発 アベノミクスバブルの破局』(角川新書)などの著書がある弁護士の明石順平さんだ。
株式の譲渡益や配当金などの金融所得は、給与所得などと別に計算する「分離課税」となっていて、これらにかかる金融所得課税の現在の税率は一律「20%(所得税15%+住民税5%)」になっている。
この税率の見直しに意欲を見せた岸田氏が総裁選を勝ち抜くと、株価が急落。3万円ほどだった日経平均株価は、一時2万7,000円台まで下がった。明石さんが続ける。
「予想以上に株価が下がってビビってしまったのでしょう。アベノミクスは一言でいうと円安株高。その株高の部分がとれてしまうとメッキがはげてしまう。格差を助長していると批判されている『1億円の壁』の打破を訴えましたが、腰砕けてしまったのです」