くらし情報『寂聴さん「私には最後まで愛する人がいた」30年交流の元スタッフに託した遺言』

2021年11月17日 06:00

寂聴さん「私には最後まで愛する人がいた」30年交流の元スタッフに託した遺言

長くしゃべりすぎるとお疲れになるのではないかと、『もう切るね』と言っても、庵主さんがまた話しだすので、いつも長電話になってしまいます。この夏の終わりごろから、こんな冗談めいたやり取りが始まりました。

『もう生きすぎて死にたいんだけど、ごはんが出ると、つい食べちゃうのね』、『それじゃまだ死ねないですよ(笑)。でも本当に死にそうになったら私に電話をしてください』」

寂聴さんからAさんに最後の電話が突然かかってきたのは逝去の3週間ほど前だったという。

『いま、入院しているのよ』

しかしAさんが驚くほどの元気な声だった。

「庵主さんは、私が母親と姑を介護してみとり、いまは夫を介護していることをご存じでした。

『あなたは人の世話ばかりして、ずっと誰かをみてるでしょう。もっと自分の体を大切にしなさい』

いつにない真面目な口調でした。
私は、『入院している病人に励まされるなんて、逆じゃないですか』と、いつものように笑い合って電話を切ったのですが、それが庵主さんと話した最後になったのです」

■「人間は誰かを愛するために生まれてきた」

「もう死にたい」と、口癖のように愚痴るいっぽうで、“挑戦をやめない”のが寂聴さんの生涯だった。

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