くらし情報『寂聴さん元秘書が語る 出家前の“はあちゃん”の素顔と孤独』

2022年12月30日 06:00

寂聴さん元秘書が語る 出家前の“はあちゃん”の素顔と孤独

母親の恭子さん(89)が、寂聴さんの11歳年下のいとこという間柄となる。

今年11月に長尾さんが出版した『「出家」寂聴になった日』(百年舎)では、冒頭部分にこうある。

〈私は、一九七〇年から二〇一〇年の年初まで、濃淡はあるが四十年間、晴美そして寂聴の文学創作に関わっていた。後半の十五年間は、秘書として〉

もともと長尾さん自身が文学少女。4歳で初めて対面し、小学5年のころから谷崎潤一郎の名を口にするこのいとこの娘に、寂聴さんは「おませさんね」と言いながら目をかけた。やがて互いが同じマンションに暮らし始め、親密な交流が始まる。

「私がこの本の原稿を母に読ませたとき、はあちゃんは徳島で言う、おへちゃの丸顔の笑みが持ち味だったのに、出家当時はいつも髪の毛が逆立っているように見えたと言うんです」

すでに人気作家だった瀬戸内晴美が、突然の出家で瀬戸内寂聴となり、文壇と世間を驚かせたのは’73年11月、51歳のとき。長尾さん母子が自殺を案じていたのと同じ年の出来事だった。
「瀬戸内の出家は、一般には、不倫相手たちとの関係を断つためなどとされています。

しかし、そんな単純なものではありません。

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