2018年5月21日 11:00
女優・有馬稲子“離婚騒動”真っ最中だった50代の貴重経験
結局、’80年4月に始まった舞台『はなれ瞽女おりん』は、’04年までの24年間に684回を上演し、名実ともに有馬さんの代表作となった。
「この役をいただいた勲章でしょうね。膝が悲鳴を上げなければもっとおりんさんを続けられたのにと思います」
さらにこのころは、ほかにも多くの舞台出演をこなす超多忙な日々。それほどまでにがむしゃらに働いたのは、夫の保証人として背負った借金を返済するためでもあった。離婚の話し合いは5年に及び、莫大な借金を有馬さんが肩代わりすることでついに成立。返済のため田園調布の邸宅を手放すなど、私生活は大変だったというが、それでも舞台には一度として穴をあけることはなかったという。
「代役は立てていないのですから。あるとき生ガキに当たってひどい腹痛になったときも1日2回公演の舞台に出ました。
死にそうでしたが、それくらいで台詞をとちったりはしません」
かつて刺激を受けた「女優はいくらでもいる」という言葉。それに対し、結果を出すことで「代役はいない」ということを証明した50代。その自信と誇りを胸に、いまも精力的に仕事をこなす有馬さんは、毎日6,000歩を歩くなど、体力作りに余念がない。