杉野遥亮は迷わない「大事なことって意外とシンプルなのかもしれない」
撮影:奥田耕平
抜け出したいけれど抜け出せない心境が、テラノとリンクした
映画は、俳優にとってタイムカプセルのようなものだと思う。撮影から公開まで1年以上の時間を要することも珍しくない。ひと目にふれる頃には、スクリーンにいる自分はずっと以前の自分だったりする。完成した作品を観るのは、俳優にとって一生懸命役と向き合っていた過去の自分を掘り起こす作業となる。
「だから、自分の演技を見るのが嫌だなと思うこともあります。でもそれにも意味があるんだと思いながら、こうやって今も取材を受けています」
そういたずらっぽく笑って答えた杉野遥亮が、今回掘り起こしたタイムカプセルは8月19日(金) 公開の映画『バイオレンスアクション』。普段はゆるふわ専門学生。でも実は凄腕の殺し屋・菊野ケイ(橋本環奈)。
とびきりキュートで、とびきり強い最強のヒットガールの活躍を描いた本作で、杉野遥亮はヤクザの金庫番・テラノを演じている。
「この作品を撮っていたのは、舞台『夜への長い旅路』や映画『やがて海へと届く』のもっと前なんです。どうやって役と向き合っていくかを模索していた時期でした。もっと何かできることがある気がする、やりたいことがある気がすると思いながらも、それが何なのかはまだわからなくて探している最中でした」