2020年2月1日 12:00
ロッシーニ:オペラ『セビリアの理髪師』 極上の音楽に包まれたドタバタ喜劇の面白さ
撮影:寺司正彦
イタリア・オペラといえば、“ドロドロの色恋沙汰”か、“抱腹絶倒のドタバタ喜劇”を極上の歌と音楽で包み込む、といった趣が多く、物語と音楽のギャップの凄さもある意味癖になる魅力になっているようにも思えなくない。
今回、新国立劇場で上演されるロッシーニのオペラ『セビリアの理髪師』は、まさに後者の代表作。抱腹絶倒のラブコメディを、ロッシーニならではの素晴らしい音楽とともに楽しむ時間は、非日常の極地と言えそうだ。
用意される舞台は、1960年代のスペインの港町セビリア。ここで展開されるコミカルでスパイスの効いた恋の物語は、バカバカしくも可笑しく楽しいシーンの連続。いつのまにやら物語の中に入り込んで楽しんでいる自分に気づくに違いない。それこそがオペラの醍醐味なのだろう。もちろん字幕付きなので、オペラ写真車でも楽しめること請け合いだ。
新国立劇場『セビリアの理髪師』2016年公演より 撮影:寺司正彦
●あらすじ
(第1幕)
アルマヴィーヴァ伯爵はマドリードで見かけた美女ロジーナを追ってセビリアへやって来た。ロジーナに向かって窓辺でセレナーデを歌うが反応なし。落ち込む伯爵の前に現れたのは、バルトロ家の理髪師で何でも屋のフィガロ。