【追悼特別寄稿(2)】プロとしての大林宣彦の仕事の流儀
ときいた。すごい好奇心だ。
「月食です、いま見えなくなったところ」との答えに、「見えないわけだ。見そこなったのは、ツキがなかった」と大笑い。「大林宣彦のダジャレ」のひとつだ。
新宿で食事をしたときも、「西武新宿線で帰ります」と言うと、すかさず「ほう、西武線か。セイブ戦線異状なしだといいね」と返された。
ダジャレの天才だった。
これからも、大林映画は何度でも見ることができるけど、あのダジャレはもうきけない。
映画『HOUSE/ハウス』のチラシ
中川 右介(なかがわ・ゆうすけ)
1960年東京生まれ。出版社アルファベータを創立。クラシック、映画、文学者の評伝を出版。現在は文筆業。『大林宣彦の体験的仕事術』(PHP新書)など、映画、歌舞伎、ポップスに関する著書多数。近著に『手塚治虫とトキワ荘』(集英社)など。
もっと知りたい…彼の将来性を”さりげなく”見抜くポイント