2022年3月14日 07:00
東野圭吾のベストセラー小説をリアルな演出で立ち上げる 村井良大、spi、三浦透子ら出演『ミュージカル「手紙」2022』上演中
三浦は本作が初ミュージカルだが、少し切ない響きのある透き通った歌声も美しく、今後のミュージカル界での活躍も期待したいところ。直貴の友人・祐輔を演じる中村嶺亜の力強い明るさも作品に爽やかな風を吹かせているし、中村、佐々木大光、今野大輝が直貴のバンドメンバーとして実際に舞台上で生演奏をするのも見どころだ。さらに川口竜也、青野紗穂ら実力派たちがしっかり物語を支えたことで、骨太なミュージカルになっている。
割り切れる美しい解決策は提示されないし、そんなものは現実に存在しないのだろう。直貴の人生にはこの先にも困難が待っているのかもしれない。ジョン・レノンが「イマジン」で歌う理想郷はまだまだ遠い。だがそれでも、前を向いて一歩踏み出す直貴と剛志の姿に一筋の光を感じる。華美ではないシンプルなラストシーンが何よりも美しく目に映り、胸に残った。
公演は3月27日(日)まで、同劇場にて。
取材・文:平野祥恵撮影:田中亜紀
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