2019年11月7日 12:00
家族の魅力と複雑さを描く。白石和彌監督が語る『ひとよ』
でも家族は得しなくても“無償の愛”を与えたいってことですよね。今の世の中だと育児放棄してしまう人とかいるので一概には言えないですけど、僕に娘ができたときに一番思ったのは、現実的には与えられないんですけど“無償の愛”を与えたいってことでした。ちょっと自分で言ってて恥ずかしいですけど(笑)。でも、それは結果として、この映画みたいに子どもの“重し”になるかもしれない。そこが家族の面倒なところで、信頼関係がなくてもそのコミュニティを壊しきれないところが苦しい。もちろん、それが子供にとって力になることもあるだろうし……」
白石監督が考えては語り、語ってはまた考えるように『ひとよ』は家族の複雑さを単純化することなく描いている。人を見つめる眼差しや、善悪に対する判断、根底にある愛情はこれまでの白石作品とブレがないが、その表現の繊細さは新機軸を思わせる。「それはやっぱり映画の題材が“家族”だからでしょうね。
この映画で自分の新しい扉が開いていたらいいな……と思っています(笑)」
『ひとよ』
11月8日(金)全国ロードショー
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