2022年12月13日 12:00
約100年前、大阪、東京、パリの街で短くも鮮烈な生涯を送った画家の画業を展観『佐伯祐三 自画像としての風景』開催
しかし、結核の悪化とともに、精神的にも追い詰められ、1年後に、パリ郊外の病院で亡くなった。
石造りの町並み、ポスターが貼られた建物の壁、そびえる教会など、数々の名品が並ぶなか、やはり注目したいのは大阪中之島美術館の代表的なコレクションのひとつ《郵便配達夫》。モンパルナスの自宅にやってきた郵便配達夫に、病床の佐伯が頼み込んでモデルになってもらったという絶筆に近い作品だ。また、顔の部分が削られた《立てる自画像》は、ヴラマンクに叱責されたあとに描かれた作品。独自の画風を模索する佐伯の苦悩を感じることができるだろう。
そのほか、彼が帰国した時に描いた《下落合風景》など、日本で描いた作品とパリで描いた作品を比べてみると、何か発見があるかもしれない。
《立てる自画像》1924年、大阪中之島美術館
《レストラン(オテル・デュ・マルシェ)》1927年、大阪中之島美術館
《モランの寺》1928年、東京国立近代美術館
《下落合風景》1926年頃、和歌山県立近代美術館
《汽船》1926年頃、大阪中之島美術館
<開催概要>
『佐伯祐三 自画像としての風景』
会期:2023年1月21日(土)〜2023年4月2日(日)