2024年5月13日 11:30
「源氏物語」「伊勢物語」などの華やかな物語屏風も展示 『歌と物語の絵 ―雅やかなやまと絵の世界』泉屋博古館東京で開催
「やまと絵」の様式を継承した屏風や絵巻物によって、和歌と古典文学の世界を絵画化した「歌絵」と「物語絵」を紹介する展覧会が、港区の泉屋博古館東京で、6月1日(土)から7月21日(日)まで開催される。館蔵の住友コレクションのやまと絵を一挙に公開する豪華な展覧会だ。
日本古来のやまと絵は、平安以来、宮廷や社寺の一級の絵師が貴人の美意識に寄り添いつつ追求してきた絵画様式。桃山から江戸時代になると、そのやまと絵の領域が広がり、かつての一部の貴人のためだったものから、より広い階層へと向けた一段と親しみやすく、視覚効果の高いものへと生まれて変わっていったという。住友コレクションのやまと絵は、そうした変化をとげた17世紀以降の、繊細な描写と典雅な色彩を特徴とする絵巻物や屏風が中心となっており、その雅やかな世界を堪能できるのが同展の魅力のひとつだ。
今回紹介される主なテーマは、和歌と物語。平安時代中頃に和歌の隆盛とともに広がった歌絵は、同展では、和歌に繰り返し詠まれた地名である「歌枕」からイメージされた《柳橋柴舟図屏風》や、和歌を絵画化した扇を画面に散らした屏風などに見ることができる。三十一文字の限られた言葉から最大限の表現を生む和歌と同様、絵画でも、シンプルなモチーフを大胆にデザインした華麗な表現が印象深い。