2022年12月12日 15:00
【ライブレポート】ソロアーティストとしての豊かな魅力を示した小山田壮平『弾き語りツアー2022』最終公演
スマホではなく、文庫本を読んでいる人が多く、「なるほど、こういう人たちが小山田壮平の音楽に親しんでいるんだな」と妙に納得してしまった。
会場の照明が落とされ、小山田がステージ上手から姿を見せると、大きな拍手が巻き起こる。すぐにアコギを手に取り、弦を揺らしながら〈大丈夫ですよ心配ないですよ〉という大らかなフレーズが広がっていく。最初の楽曲は、andymoriの「投げKISSをあげるよ」。さらに「革命」「1984」とandymoriの代表曲が披露される。どちらも10年以上前に発表された楽曲だが、そのなかで描かれる感情――この熱狂はいつか誰かに届くはずだという切実な思いーーはまったく色褪せず、むしろ2022年にこそ強く響いていた。特に「1984」におけるブルースハープの素朴な音色、ファルセットと地声を使い分けたボーカルにはグッと来てしまった。
ライブ前半はandymoriの楽曲が中心。
「ベンガルトラとウィスキー」では曲が進むにつれてスピードを上げながら性急な疾走感を生み出し(ちょっと乱暴な歌もカッコいい!)、「遠くへ行きたい」ではフォーキーな音像とともに、悲しみや退屈を超え、此処ではない何処かに行きたいという根源的な思いを切々と歌い上げる。