2024年4月1日 12:00
『プリシラ』エルヴィス・プレスリーを虜にした14歳少女のシンデレラストーリー【おとなの映画ガイド】
そんな彼からの幾度もの誘いに、夢見心地のまま恋心があふれ出していく。ふたりの関係を信じていなかった両親も、大スター直々の来訪による交際申し入れで、ついに認めることとなる。
まさしく1960年代という高度成長期のシンデレラストーリーだ。しかし、本作がおとぎ話と違うのは、「出会って恋人になるまで」の物語ではなく、「恋人になってから」がメインストーリーであるということ。
ふたりの親交はエルヴィスが除隊し帰国してからも続き、1963年、17歳になったプリシラは、「グレースランド」と呼ばれるエルヴィスの大邸宅に呼び寄せられ、そこに住むことになる。彼女はエルヴィスの寵愛を受けながらその邸宅から女子校に通うのだ。
17歳の少女が人気絶頂のスーパースターと同居!……いまなら大炎上のスキャンダルものだが、それがまかり通った時代の実話である。
原作は、プリシラが1985年に出版した回想録『私のエルヴィス』。それをソフィア・コッポラ監督が脚色し、映画化した。
「多くの10代の少女が歳上のセレブとの恋に憧れますが、プリシラはそれを現実にしました。私が興味を持ったのは、どうやって夢を叶えたかだけではなく、グレースランドで成長するにつれ、プリシラの望むものがどう変わっていったのかを探ることでした」