くらし情報『田中哲司×笹本玲奈、松田龍平×石橋静河 “格差”がもたらす恋の悲劇『近松心中物語』』

2021年9月4日 04:00

田中哲司×笹本玲奈、松田龍平×石橋静河 “格差”がもたらす恋の悲劇『近松心中物語』

『近松心中物語』ゲネプロより


故・蜷川幸雄が千回を超える上演を重ねた名作『近松心中物語』がKAAT神奈川芸術劇場の新芸術監督に就任した長塚圭史の演出で上演される。開幕前日の9月3日にゲネプロの模様が取材陣に公開された。

戦後を代表する劇作家・秋元松代の代表作であり近松門左衛門の『冥途の飛脚』をベースに他作品の要素を加えて作られた本作。元禄時代を舞台に、飛脚宿の養子・忠兵衛(田中哲司)と女郎の梅川(笹本玲奈)、古物商の若旦那・与兵衛(松田龍平)とその妻・お亀(石橋静河)の2組の男女の姿を描き出す。


田中哲司×笹本玲奈、松田龍平×石橋静河 “格差”がもたらす恋の悲劇『近松心中物語』


田中が演じる忠兵衛は、真面目が取り柄の飛脚宿の養子だが、親切心で拾ったお金を届けた先が廓で、そこで出会った笹本演じる梅川と深く愛し合うようになる。梅川には、さる金持ちから身請け話が持ち上がるが、忠兵衛は負けじと金策に奔り、やがて身を滅ぼしてゆくことに...…。

田中哲司×笹本玲奈、松田龍平×石橋静河 “格差”がもたらす恋の悲劇『近松心中物語』


生真面目であるがゆえに真っ直ぐに生き、愛し、自らを追い詰めていく忠兵衛を田中が好演!互いを運命の相手を想い定めるも、愛だけでは超えることのできない境遇の違い、“金”という現実に逃げ場を失っていくふたりの姿が切なく、そして美しい。


田中哲司×笹本玲奈、松田龍平×石橋静河 “格差”がもたらす恋の悲劇『近松心中物語』


一方、松田が演じる与兵衛はお人よしの心優しい男で、石橋演じる妻・お亀から深く深く愛されているが、大店の婿養子という立場に身の置き所のなさを感じている。

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