ゴダールのドキュメンタリーが日本初公開『1PM-ワン・アメリカン・ムービー』
イラストレーション:高松啓二
映画・音楽・舞台など各ジャンルのエンタメ通=水先案内人が、いまみるべき公演を紹介します。
【水先案内人 高松啓二のおススメ】
1968年、ヌーヴェル・ヴァーグの巨匠ジャン=リュック・ゴダールは、映画を撮るためニューヨークにいた。しかし、諸事情のため完成せず、当時のカメラマンD・A・ペネベイカーとリチャード・リーコックがフィルムを繋げ1972年に公開されたドキュメンタリー作だ。日本初公開である。冒頭ゴダールが、流暢な英語で打ち合わせし、カリスマ性を漂わせる。『シンシナティ・キッド』のリップ・トーンは、先住民の格好でテープレコーダーのセリフを繰り返し、反戦活動家でその後「シカゴ7」のひとりとなるトム・ヘイデンは社会問題を語る。ブラックパンサーの演説、民族音楽のライブを延々と映すなどの切り取り映像が続く。そして、ジェファーソン・エアプレインによる屋上ライブでグレイス・スリックの歌声がこだまする。
ちなみにビートルズよりも先!60年代の息吹を感じさせるものの、正直ワケがわからない。それでも理解しようと能動的に映画と接しようとする自分がいる。普段、映画は受動的に観るだけに新鮮な感覚である。