2019年11月5日 12:00
新国立劇場オペラ『ドン・パスクワーレ』 美しいアリアが散りばめられた抱腹絶倒のオペラ・ブッファ
イタリアを代表するオペラ作曲家ドニゼッティ(1797-1848)が最晩年に手掛けたオペラは、なんと抱腹絶倒の結婚大作戦!物語は、大金持ちの老人ドン・パスクワーレが、甥エルネストの恋人ノリーナと医師のマラテスタに一泡吹かされるドタバタ喜劇だ。しかし笑いの中に散りばめられたアリア「あの騎士の眼差しは」や「遥かなる土地を求めて」などの美しさは破格。まさにドニゼッティならではの名旋律が楽しめる素敵な作品の登場だ。オペラ好き、特に“美しい歌”を意味するベルカント・オペラに興味がある方にとってはたまらないひとときとなるに違いない。
意外なことに、新国立劇場初登場となる本作品の演出は、イタリアをはじめ多くのオペラハウスで上演され続けてきたステファノ・ヴァツィオーリによる決定版と言える名舞台。指揮には、ベルカント・オペラでの高評価を得ているコッラード・ロヴァーリスを迎え、ハスミック・トロシャン(ソプラノ)や、ロベルト・スカンディヴィッツィ(バス)ほかの素晴らしいキャストによるステージに注目したい。
Photo: Fabio Parenzan
●物語
【第1幕】裕福な独身老人ドン・パスクワーレは主治医マラテスタに花嫁探しを依頼した。