宮沢りえ&磯村勇斗が挑む唐十郎の伝説の戯曲。迷宮のような世界を美しく力強く立ち上げる。
だから、4度目とはいえ、この『泥人魚』という戯曲に向かう気持ちは、磯村さんと変わらないと思っています。
磯村僕は初めて唐さんの戯曲を読んだんですが、一度読んだだけでは、これはいったいどういう世界なんだろうと理解できませんでした。そして、2度読んだらさらにわからなくなって、迷宮に入ってしまったというのが正直なところです(笑)。でも、稽古が始まったら、宮沢さんや共演者の方と一緒にお芝居をしていく中で発見をし、それが徐々に自分の身体に馴染んで、唐さんの詩のような言葉が体中に流れていくようになればいいのかなと思っているので。あまり頭でっかちになってはいけないだろうなと感じていますね。
宮沢私はその詩のような唐さんの言葉が大好きなんです。それに、迷宮とはいえ、登場人物がみんな、発する言葉も人間性もチャーミングなところが面白いんですよね。初演では唐さんご本人が演じられていて、今回は風間杜夫さんが演じられる“まだらボケの詩人”の役なんて、本当に素敵なんです(笑)。
磯村詩的な要素がいっぱいあるから、心情的にスッと出てこない言葉は多いんですけど。でも、だからこそ、自分がこれを発するときにどうやって音を出していくんだろうっていうのが楽しみで。