2024年2月21日 17:00
物理学者の決断が歴史を動かす……。映画『オッペンハイマー』を取り巻く時代背景とは
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キリアン・マーフィー、ロバート・ダウニー・Jr.、エミリー・ブラント、マット・デイモンらが出演する映画『オッペンハイマー』が3月29(金)から公開になる。本作は、実在の物理学者ロバート・オッペンハイマーが主人公だが、彼の物語と彼が生きた激動の時代は切っても切り離せないものだ。
本作の主人公J・ロバート・オッペンハイマーは1904年生まれ。幼い頃から学問に興味を持っていたというが、10歳のときに第一次世界大戦が始まった。
第一次世界大戦(1914-1918)では、戦争に科学技術が大胆に導入された。飛行船による爆撃、毒ガスの使用、無線を駆使した情報戦、潜水艦を用いた攻撃……戦場は市街地にまで拡大し、市民を巻き込んだ大量殺戮の時代が到来した。その結果、それまで以上に科学者、特に物理学者が戦争に与える影響が大きくなった。国家間の競争が激しくなり、彼らの成果が戦争の行方を左右するかもしれないからだ。
オッペンハイマーは大学で学び、やがて教鞭をとるようになるが35歳のときに第二次世界大戦が勃発。ユダヤ系アメリカ人の物理学者であった彼は、ナチスドイツに対抗するために、アメリカの国家プロジェクト「マンハッタン計画」