くらし情報『戦争画だけじゃない、叙情あふれる作品世界を通観する 日本画家・小早川秋聲、初の大回顧展をレポート』

戦争画だけじゃない、叙情あふれる作品世界を通観する 日本画家・小早川秋聲、初の大回顧展をレポート

制作当初は体の上に桜の花が積もるように描かれていたものの、後に黒く塗りつぶされている。

戦後は体調を崩したこともあり、大作は制作せず、仏画や小品などを描くようになった。第4章「戦後を生きる静寂の日々」では、戦後から1974年に亡くなるまでの秋聲の作品を紹介する。

戦争画だけじゃない、叙情あふれる作品世界を通観する 日本画家・小早川秋聲、初の大回顧展をレポート

いずれも小早川秋聲左から《春寒賜浴》1960年頃 個人蔵、《吉羊黄初平》1945〜74年 園重寺、《延年益寿》1945〜74年 個人蔵、《山を出でます聖》1946年個人蔵
秋聲の死後、彼の存在や画業はしばらくの間忘れられていた。彼がふたたび注目を浴びるようになったのは、没後約20年後の1995年のこと。美術雑誌『芸術新潮』で《國之盾》が紹介されたことがきっかけとなり、再評価の機運が高まっていった。


戦争画だけじゃない、叙情あふれる作品世界を通観する 日本画家・小早川秋聲、初の大回顧展をレポート

いずれも小早川秋聲(左)《聖火は走る》1963年 個人蔵(右)《聖母子像》1945〜74年園重寺
このような経緯があるため、小早川秋聲は《國之盾》など戦争画のイメージが非常に強い。けれども、日本中、世界中を旅し、叙情に富んだ作品を描き続けた側面も見逃してはならない。

さまざまな魅力を見せてくれる小早川秋聲の画業を、この機会に見渡してみよう。

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