2024年4月11日 20:00
ミュージカルの金字塔『王様と私』が北村一輝と明日海りおで華やかに開幕
を歌いながら子どもたちに見せる笑顔など、明日海アンナならではの魅力も随所に。家庭教師らしいシンプルなドレスから晩餐会での豪華なドレスまで、品のあるニュアンスカラーの衣裳が次々と登場するのも楽しい(衣裳:有村淳〈宝塚歌劇団〉)。
そんなふたりが「Shall We Dance?」に乗せて踊る有名なシーンは、そびえる舞台セットに繊細な照明が映え、まさに夢のようなひととき(美術:松井るみ、照明:髙見和義)。オーケストラの生演奏もあいまって、王道ミュージカルの華やかさを存分に堪能できる。
次第に絆を深めてゆく王様とアンナに対して、旧態依然としたしがらみから逃れられないのが、踊り子タプティム(朝月)と恋人ルンタ(竹内將人)だ。悲しい恋に身を投じるふたりのナンバー「We Kiss in a Shadow」が胸に迫る。
同じく旧弊な世界にとらわれているチャン王妃役・木村の美しく伸びる歌声や、クララホム首相役・小西の悲哀の表情も印象的。王様の態度にアンナが「ハラスメントよ!」と悔しがるひと幕も含めて、時代の過渡期を生きる人々の戸惑いがうかがえる(演出・翻訳・訳詞:小林香)。その他、彼なりの誠実さでアンナに好意を寄せる特使ラムゼイ卿(中河内雅貴)