くらし情報『「不思議で不条理な国」を彷徨うアリスの進む先は NODA・MAP『兎、波を走る』公演レポート』

2023年6月21日 07:00

「不思議で不条理な国」を彷徨うアリスの進む先は NODA・MAP『兎、波を走る』公演レポート

しかし作家はまともな台詞が書けず、ついに遊園地はシャイロック・ホームズの手によって競売にかけられることに。一方、迷子相談所にやって来たのは、迷子のアリスを探しているアリスの母。と、彼女の目の前を脱兎が駆け抜けていき……。

「不思議で不条理な国」を彷徨うアリスの進む先は NODA・MAP『兎、波を走る』公演レポート

NODA・MAP 第26回公演『兎、波を走る』より撮影:篠山紀信
アリスという登場人物からもわかるように、物語の一部は『不思議の国のアリス』がモチーフとして使用されている。それはやはり、アリスが彷徨うこの世界が、不条理に満ちているからだろう。脱兎を追いかけ、この不思議で不条理な国に迷い込み、母のもとへと帰ろうとするアリス。そんなアリスを探し続けるアリスの母。そして脱兎。
この三者を軸に、物語は意外な方向へと転がっていく。

これまでも野田はさまざまな手法を用い、見たことのないような劇空間を創出してきたが、特に今回は不思議の国の表現に目を見張った。合わせ鏡を用いた脱兎のシーンでは、その軌跡が疾走感とともに幻想的な雰囲気を醸し出し、「私を飲んで」と書かれた瓶の中身を飲むシーンでは、アリスは本当に一瞬で大きくなり、そして小さくなったかに見えた。さらに古典的なやり方ではあるが、人が一瞬にしていなくなる方法は、本作においては非常に効果的。

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