又吉直樹とモトーラ世理奈が醸し出す、椅子をめぐる「ありきたりじゃない世界」【WOWOWオリジナルドラマ 椅子】
と考えていました。
──特に『海へ』は即興芝居が多い印象でしたが、どの程度まで台本に書いて、あとは役者さんたちに委ねようと思ったのでしょうか?
又吉まさに完成版のような雰囲気にしたかったんですが、書いたものをセリフで言ってああいった雰囲気にするのはなかなか難しくて……。
もちろん台本は書きますが、役者さんたちが元々持っている言い回しであったり、ノリみたいなものが出ないと、仲の良さや日常の雰囲気が出ないだろうなと思っていました。
だから、台本自体はできるだけそういったものが出やすい、発射台のようになればいいなという意識はありました。
──細かいところまであまり詰めないで、自由に演じていただいた?
又吉そうですね。そこがやっぱり難しいところで……僕らも漫才やコントの本を書くんですけど、絶対にそのままやれないんですよ。やってみてから、少しずつ自分の身体に合った言葉に変えていく作業をするんです。
今回の場合、そういった作業というのは現場での演出部分になると思ったので、「無理に演じると、きっと違うものになるんじゃないですかね」といったような希望だけお伝えしました。
仕上がりを観たらとても自然な雰囲気になっていたので、よかったなあと思いました。